こんにちは。今日は5年後の2030年に起こりえる未来の話をしたいと思います。テーマは「大垣に量子コンピュータを置くべき理由」です。「え?量子コンピュータなんて東京や筑波に置くものでしょ」そう思った方。たぶん、この記事を読み終えるころには考えが変わります。
「水の都」から、「データの都」へ
大垣は“水の都”として知られています。けれど、近年はもう一つの顔―「デジタルの都」として知られ始めています。
1996年に開設されたソフトピアジャパンは、中部圏最大級のIT拠点として、長年にわたり企業・技術者を育ててきました。
そして、すぐ隣には私の出身でもあるIAMAS(情報科学芸術大学院大学)があります。テクノロジーと芸術の融合から、数々の新しい表現やビジネスが生まれています。
つまり、大垣には「実験を受け入れる空気」が、すでにあるのです。
なぜ“量子”なのか? そしてなぜ“大垣”なのか?
ここからが本題です。量子コンピュータを置くべき場所は、間違いなく大垣です。理由は3つあります。
産業の厚みがある
岐阜市が約40万人の人口に対して上場企業数9社であるのに対し、大垣市はわずか15万人の人口規模で8社。都市規模を考えれば、これは驚くほどの高密度です。製造、物流、金融、教育――4つの主要産業がバランスよく共存する地方都市は、全国を見渡してもそう多くありません。
この多様な産業構造が互いに支え合うことで、まち全体に「産業の厚み」と「技術の奥行き」が生まれています。そしてその多層的な構造こそが、量子コンピュータが得意とする「複雑な最適化」の実験場として理想的な環境を形づくっているのです。大垣という都市そのものが、「量子コンピュータの社会実装」を進めるための現実的な研究室、そう言っても過言ではありません。
実験と社会実装が“30分圏内”で完結する
東京のような大都市では、研究と現場のあいだに距離が生じることがあります。量子コンピュータは、わずかな振動や熱といった外的環境にも影響を受けやすく、安定した稼働には静穏で安定した環境が欠かせません。言い換えれば、“人の少なさ”や“環境の静けさ”が、むしろ理想的な条件になるのです。
その点、大垣では企業・行政・教育機関がすべて車で30分圏内に集積しています。研究・開発・実証という一連のプロセスを、物理的な距離を感じることなくシームレスに進められる。新しい技術を、その日のうちに検証できる都市は、全国を探してもほとんど存在しません。
さらに、豊かな自然もこのまちの大きな財産です。山々に囲まれ、日本の名水百選に選ばれた湧水が流れ、自然環境の中に静かに息づく都市。自然と経済、研究と生活が調和する地方都市として、これほどバランスの取れた場所は多くありません。
この「コンパクトさと豊かさの両立」こそが、大垣というまちの最大の機動力であり、研究都市にはない“リアルな強み”なのです。
岐阜・東海圏の研究拠点とのつながり
2024年、名古屋大学と岐阜大学が共同で量子フロンティア産業創出拠点(Q-BReD)を設立しました。理論と応用をつなぐこの拠点と連携すれば、大垣はまさに地域実証の前線基地になれます。
つまり、研究は名古屋、実装は大垣。この役割分担が、岐阜の未来を大きく変える可能性を秘めています。
量子コンピュータはとにかく「速い」
よく「量子コンピュータはすごく速い」と言われます。なかでも量子コンピュータは、数十億通りの組み合わせの中から最適な答えを見つけ出すことが得意と言われています。
例えば、数十億通りの組み合わせから最適な答えを見つける計算をするとき、今のAIやスーパーコンピュータでやると、何万年もかかってしまいます。
具体的な事例では、
- 物流:トラックの最短ルートと積載効率を同時に最適化。
- 医療:限られた人員と時間で検査の順序を自動調整。
- 観光:混雑を避けて最も快適な回遊導線を提示。
が代表的な事例として挙げられます。これ、どれも地方の課題ですよね。つまり量子は、都市ではなく地方のための技術と言っても過言ではありません。
国内でも、すでに成功例がある
実際、国内のメーカーでは量子的手法を使って、出荷計画を立案し、計画時間を6分の1に短縮。CO₂排出量も削減。こうした成果は、もう研究レベルの話ではありません。今や実務で使えるテクノロジーに進化しています。
大垣で同様のプロジェクトが始まれば、製造業・物流業・自治体の現場は、確実に変わります。
「量子コンピュータを置く」という選択がもたらすもの
量子コンピュータを設置することは、単に「最新機器を導入する」ことではありません。それは、地域全体を新しい構造にアップデートすることです。
- 教育:学生が最先端に触れる。
- 産業:企業が実証・PoCを即座に行える。
- 行政:データに基づいたまちづくりが可能になる。
そして、その3者をつなぐ共通の言語(データと実験)が生まれる。これこそが、地方創生の次のフェーズだと考えています。
大垣が担う、次の時代の役割
AIやDXの導入が全国で進む中、その「次」を担える都市はまだ限られています。岐阜・大垣はその最有力候補だと考えています。ここでは、研究者・行政・企業が地続きで話せます。そして、テクノロジーを「一部の専門家のもの」にしない文化があります。この「距離の近さ」と「実行力」が、量子コンピュータがある社会のベースになり得るのはないでしょうか。
未来は「誰かが持ってくる」ものではない
技術は、いつも都市から地方へ「降りてくる」と思われがちです。でも、本当のイノベーションは、現場から上がってくるものです。
製造ライン、学校、行政、商店街、そうした日常の現場で生まれる工夫が、量子コンピュータの演算でより良く磨かれていく。
「地方がテクノロジーを使う」のではなく、「地方がテクノロジーをつくる」。その中心地が大垣になる日も、遠くありません。
この話の続きを、現場でしませんか?
量子コンピュータは、もう「特別な研究室」のものではありません。API経由で誰でも使える時代です。中小企業でも、製造ラインや在庫管理などですぐに試せる環境が整っています。
もしあなたの会社や自治体で、「量子コンピュータをどう活かせるか」「どんな分野に応用できるか」を知りたい方がいれば、サポートできます。以下のリンクからお問い合わせください。
ご意見・取材・勉強会・企画のご相談はこちら
https://forms.gle/tCcjbMLUNRwXMiwd7
こんにちは。今日は5年後の2030年に起こりえる未来の話をしたいと思います。テーマは「大垣に量子コンピュータを置くべき理由」です。「え?量子コンピュータなんて東京や筑波に置くものでしょ」そう思った方。たぶん、この記事を読み終えるころには考えが変わります。
「水の都」から、「データの都」へ
大垣は“水の都”として知られています。けれど、近年はもう一つの顔―「デジタルの都」として知られ始めています。
1996年に開設されたソフトピアジャパンは、中部圏最大級のIT拠点として、長年にわたり企業・技術者を育ててきました。
そして、すぐ隣には私の出身でもあるIAMAS(情報科学芸術大学院大学)があります。テクノロジーと芸術の融合から、数々の新しい表現やビジネスが生まれています。
つまり、大垣には「実験を受け入れる空気」が、すでにあるのです。
なぜ“量子”なのか? そしてなぜ“大垣”なのか?
ここからが本題です。量子コンピュータを置くべき場所は、間違いなく大垣です。理由は3つあります。
産業の厚みがある
岐阜市が約40万人の人口に対して上場企業数9社であるのに対し、大垣市はわずか15万人の人口規模で8社。都市規模を考えれば、これは驚くほどの高密度です。製造、物流、金融、教育――4つの主要産業がバランスよく共存する地方都市は、全国を見渡してもそう多くありません。
この多様な産業構造が互いに支え合うことで、まち全体に「産業の厚み」と「技術の奥行き」が生まれています。そしてその多層的な構造こそが、量子コンピュータが得意とする「複雑な最適化」の実験場として理想的な環境を形づくっているのです。大垣という都市そのものが、「量子コンピュータの社会実装」を進めるための現実的な研究室、そう言っても過言ではありません。
実験と社会実装が“30分圏内”で完結する
東京のような大都市では、研究と現場のあいだに距離が生じることがあります。量子コンピュータは、わずかな振動や熱といった外的環境にも影響を受けやすく、安定した稼働には静穏で安定した環境が欠かせません。言い換えれば、“人の少なさ”や“環境の静けさ”が、むしろ理想的な条件になるのです。
その点、大垣では企業・行政・教育機関がすべて車で30分圏内に集積しています。研究・開発・実証という一連のプロセスを、物理的な距離を感じることなくシームレスに進められる。新しい技術を、その日のうちに検証できる都市は、全国を探してもほとんど存在しません。
さらに、豊かな自然もこのまちの大きな財産です。山々に囲まれ、日本の名水百選に選ばれた湧水が流れ、自然環境の中に静かに息づく都市。自然と経済、研究と生活が調和する地方都市として、これほどバランスの取れた場所は多くありません。
この「コンパクトさと豊かさの両立」こそが、大垣というまちの最大の機動力であり、研究都市にはない“リアルな強み”なのです。
岐阜・東海圏の研究拠点とのつながり
2024年、名古屋大学と岐阜大学が共同で量子フロンティア産業創出拠点(Q-BReD)を設立しました。理論と応用をつなぐこの拠点と連携すれば、大垣はまさに地域実証の前線基地になれます。
つまり、研究は名古屋、実装は大垣。この役割分担が、岐阜の未来を大きく変える可能性を秘めています。
量子コンピュータはとにかく「速い」
よく「量子コンピュータはすごく速い」と言われます。なかでも量子コンピュータは、数十億通りの組み合わせの中から最適な答えを見つけ出すことが得意と言われています。
例えば、数十億通りの組み合わせから最適な答えを見つける計算をするとき、今のAIやスーパーコンピュータでやると、何万年もかかってしまいます。
具体的な事例では、
国内でも、すでに成功例がある
実際、国内のメーカーでは量子的手法を使って、出荷計画を立案し、計画時間を6分の1に短縮。CO₂排出量も削減。こうした成果は、もう研究レベルの話ではありません。今や実務で使えるテクノロジーに進化しています。
大垣で同様のプロジェクトが始まれば、製造業・物流業・自治体の現場は、確実に変わります。
「量子コンピュータを置く」という選択がもたらすもの
量子コンピュータを設置することは、単に「最新機器を導入する」ことではありません。それは、地域全体を新しい構造にアップデートすることです。
大垣が担う、次の時代の役割
AIやDXの導入が全国で進む中、その「次」を担える都市はまだ限られています。岐阜・大垣はその最有力候補だと考えています。ここでは、研究者・行政・企業が地続きで話せます。そして、テクノロジーを「一部の専門家のもの」にしない文化があります。この「距離の近さ」と「実行力」が、量子コンピュータがある社会のベースになり得るのはないでしょうか。
未来は「誰かが持ってくる」ものではない
技術は、いつも都市から地方へ「降りてくる」と思われがちです。でも、本当のイノベーションは、現場から上がってくるものです。
製造ライン、学校、行政、商店街、そうした日常の現場で生まれる工夫が、量子コンピュータの演算でより良く磨かれていく。
「地方がテクノロジーを使う」のではなく、「地方がテクノロジーをつくる」。その中心地が大垣になる日も、遠くありません。
この話の続きを、現場でしませんか?
量子コンピュータは、もう「特別な研究室」のものではありません。API経由で誰でも使える時代です。中小企業でも、製造ラインや在庫管理などですぐに試せる環境が整っています。
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