
発表と改善:AIに任せる部分、人間が判断する部分を整理する
この節で学ぶこと
前の節では、フォルダに置いた資料をもとに、要約・企画案・記事構成まで生成する実務向けシステムを設計しました。
今回は、その仕上げとして、作成したAIワークフローを発表し、改善点を整理します。
ここで大切なのは、ただ「AIアプリを作りました」と発表することではありません。
自分が作ったワークフローの中で、
AIに任せる部分
人間が確認する部分
人間が最終判断する部分
を明確に説明できるようにします。
AI活用では、すべてを自動化することが正解ではありません。
むしろ、実務では「どこまでAIに任せて、どこから人間が見るか」を決められることが、とても重要です。
まず、言葉を整理します
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 発表 | 自分が作ったものを、他の人に説明すること |
| 改善 | 使ってみて分かった問題点を直すこと |
| 自動化 | 人が毎回手作業で行っていた作業を、仕組みで進められるようにすること |
| 判断 | 内容が正しいか、公開してよいか、相手に見せてよいかを決めること |
| レビュー | 公開・提出・共有の前に、人間が内容を確認すること |
| 責任範囲 | 誰がどこまで確認するかという役割の範囲 |
| 品質管理 | 出力された文章や企画の質を保つための確認作業 |
| 未確認事項 | まだ事実確認ができていない内容 |
| 改善サイクル | 作る、試す、直す、もう一度使うという流れ |
この節では、AIアプリを完成させて終わりにしません。
使ってみて、説明して、直して、より実務で使いやすい形に育てます。
なぜ発表と改善が必要なのか
AIワークフローは、作っただけでは完成ではありません。
実際に動かしてみると、次のような問題が出ます。
| 起きやすい問題 | 例 |
|---|---|
| 入力が難しい | 何を入力すればよいか分からない |
| 出力が長すぎる | 確認に時間がかかる |
| 要約が浅い | 重要な内容が抜けている |
| 企画案が一般的 | どこかで見たような案になる |
| 未確認情報を断定する | 価格、日付、実績などを勝手に書く |
| 人間の確認箇所が曖昧 | 誰が何を確認するか分からない |
| 実務で使いにくい | 保存先、ファイル名、共有方法が決まっていない |
だからこそ、最後に発表します。
発表すると、自分では気づかなかった問題が見えます。
聞いている人から、「ここは本当に自動でよいのか」「この確認は誰がするのか」と質問されることで、ワークフローが現実的になります。
今回の完成イメージ
この節では、次のような発表資料を作ります。
# AIワークフロー発表資料
## 1. 作ったAIワークフローの名前
## 2. 解決したい課題
## 3. 入力する情報
## 4. AIが行う処理
## 5. 出力される成果物
## 6. AIに任せる部分
## 7. 人間が確認する部分
## 8. 実際に使ってみた結果
## 9. 改善点
## 10. 今後の発展案
これまで学んだ内容を、発表できる形にまとめます。
発表用ワークフローの全体像
flowchart TB
A[作成したAIワークフロー] --> B[目的を整理する]
B --> C[入力・処理・出力を説明する]
C --> D[AIに任せる部分を整理する]
D --> E[人間が確認する部分を整理する]
E --> F[実行結果を見せる]
F --> G[改善点を出す]
G --> H[次の発展案を考える]

発表では、難しい専門用語を並べるよりも、「何に困っていて、それをどう楽にしたのか」を説明すると伝わりやすくなります。
発表で必ず入れる3つの視点
1. 入力
入力とは、AIに渡す材料です。
例:
| AIアプリ | 入力するもの |
|---|---|
| 記事作成AI | 記事テーマ、読者、資料、文字数、文体 |
| レポート作成AI | 授業メモ、自分の意見、指定文字数 |
| ES作成AI | 履歴書、経験メモ、応募職種、企業情報 |
| 企画会議AI | 商品情報、目的、媒体、注意点 |
| 週次レポートAI | 今週のメモ、進捗、課題、次週予定 |
入力が曖昧だと、出力も曖昧になります。
発表では、「このアプリには、何を入力するのか」をはっきり説明します。
2. 処理
処理とは、AIが行う作業です。
例:
1. 入力内容を確認する
2. 読者を整理する
3. 資料を要約する
4. 企画案を作る
5. 記事構成を作る
6. 本文を生成する
7. 品質チェックをする
8. Google Docs用に整える
ここで大切なのは、AIに一度で全部やらせないことです。
これまで学んだように、AIワークフローは工程を分けるほど、確認しやすくなります。
3. 出力
出力とは、AIが最後に作る成果物です。
例:
| AIアプリ | 出力されるもの |
|---|---|
| 記事作成AI | 構成案、本文ドラフト、品質チェック、Docs用本文 |
| レポート作成AI | 要約、主張と根拠、本文案、確認事項 |
| ES作成AI | 自己PR案、志望動機案、本人確認リスト |
| 企画会議AI | 記事案、SNS案、動画案、LP見出し案 |
| 週次レポートAI | 進捗要約、課題、未確認事項、次週引き継ぎ |
発表では、「この出力を、実際にどのように使うのか」まで説明します。
AIに任せる部分と、人間が確認する部分
この節の中心はここです。
AIに任せやすい作業と、人間が確認すべき作業を分けます。
| 作業 | AIに任せやすいか | 理由 |
|---|---|---|
| 長文の要約 | 任せやすい | 情報を短く整理するのが得意 |
| 企画案のたたき台 | 任せやすい | 複数案を出すのが得意 |
| 記事構成案 | 任せやすい | 見出し案を作りやすい |
| 本文ドラフト | 任せやすい | 下書き作成に向いている |
| 表現のリライト | 任せやすい | 文体変更や読みやすさ改善に向いている |
| 事実確認 | 人間確認が必要 | AIが誤る場合がある |
| 最終公開判断 | 人間が行う | 責任を持つ必要がある |
| 顧客に見せる判断 | 人間が行う | 相手との関係性や文脈がある |
| 個人情報・機密情報の扱い | 人間が確認 | ルールや契約に関わる |
| 未確認情報の扱い | 人間が確認 | 断定してよいか判断が必要 |
AIは「下準備」に強いです。
人間は「判断」に責任を持ちます。
この分担を説明できると、AI活用が一段実務的になります。
Google Opalに入れる完成プロンプト
この節では、作成済みのAIワークフローを発表資料に変換するミニアプリを作ります。
発表・改善アシスタントを作ってください。
目的:
作成したAIワークフローについて、発表用の整理、AIに任せる部分、人間が確認する部分、改善点、今後の発展案をまとめるAIミニアプリにします。
入力:
・作成したAIワークフローの名前
・解決したい課題
・入力項目
・処理の流れ
・出力される成果物
・実行してみた結果
・うまくいった点
・課題に感じた点
・今後改善したい点
処理:
1. 作成したAIワークフローの目的を整理する
2. 入力・処理・出力を表にまとめる
3. AIに任せる工程を整理する
4. 人間が確認すべき工程を整理する
5. 実行結果から、良かった点を整理する
6. 実行結果から、改善点を整理する
7. 改善案を優先順位つきで提案する
8. 発表用の構成案を作る
9. 発表原稿のたたき台を作る
10. 質疑応答で聞かれそうな質問を作る
出力形式:
Markdown形式
出力項目:
# AIワークフロー発表・改善資料
## 1. 作成したAIワークフローの概要
## 2. 解決したい課題
## 3. 入力・処理・出力
## 4. AIに任せる部分
## 5. 人間が確認する部分
## 6. 実行結果
## 7. 良かった点
## 8. 改善点
## 9. 改善案の優先順位
## 10. 発表構成案
## 11. 発表原稿
## 12. 想定質問と回答
## 13. 次に発展させる方向
条件:
・初心者にもわかる言葉で説明する
・AIにすべて任せる表現は避ける
・人間が確認する工程を必ず明記する
・未確認情報や事実確認が必要な部分を明確にする
・実務で使う場合の注意点も入れる
サンプル入力1:記事作成AIアプリを発表する
実際にミニアプリへ入れるサンプルです。
# サンプル入力1
## 作成したAIワークフローの名前
初心者向け記事作成AIアプリ
## 解決したい課題
記事を書くときに、テーマはあるが、読者整理、構成作成、本文作成、品質チェックまでを毎回手作業で行うのが大変だった。
## 入力項目
・記事テーマ
・参考資料
・想定読者
・記事の目的
・希望文字数
・文体
・必ず入れたい内容
・注意点
・出力形式
## 処理の流れ
1. 記事テーマを確認する
2. 想定読者を整理する
3. 参考資料を要約する
4. 企画の切り口を出す
5. 記事構成案を作る
6. 本文ドラフトを生成する
7. 品質チェックを行う
8. Google Docs用に整形する
9. ファイル名案と保存先案を出す
## 出力される成果物
・記事構成案
・本文ドラフト
・タイトル案
・品質チェック結果
・修正版本文
・Google Docs貼り付け用本文
・ファイル名案
・保存先フォルダ案
## 実行してみた結果
地域食品ブランドの新商品紹介記事をテーマに試した。
読者整理、記事構成、本文ドラフト、未確認事項の抽出まで出力できた。
## うまくいった点
・記事を書く前の構成作成が楽になった
・未確認情報を要確認として出せた
・Google Docsに貼り付けやすい形で出力できた
## 課題に感じた点
・商品写真や価格など、資料にない情報は人間が確認する必要がある
・企画案が少し一般的に感じる部分があった
・文体をもっとブランドらしく調整したい
## 今後改善したい点
・企画案の評価基準を追加したい
・SNS投稿案やLP見出し案にも展開したい
・Difyやn8nを使って、フォルダ投入型に発展させたい
期待される出力例
# AIワークフロー発表・改善資料
## 1. 作成したAIワークフローの概要
今回作成したのは、初心者向けの記事作成AIアプリです。
記事テーマや参考資料を入力すると、読者整理、資料要約、企画案作成、記事構成、本文ドラフト、品質チェック、Google Docs用出力までを順番に行います。
## 2. 解決したい課題
記事作成では、本文を書く前に読者整理や構成作成が必要です。
しかし、毎回ゼロから考えると時間がかかります。
このAIワークフローは、記事作成の下準備と下書き作成を効率化するために作成しました。
## 3. 入力・処理・出力
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 入力 | 記事テーマ、参考資料、想定読者、目的、文字数、文体、注意点 |
| 処理 | 読者整理、資料要約、企画案作成、構成作成、本文生成、品質チェック、出力整形 |
| 出力 | 記事構成案、本文ドラフト、品質チェック結果、Docs用本文、保存先案 |
## 4. AIに任せる部分
・参考資料の要約
・読者の悩みの整理
・記事企画案の作成
・記事構成案の作成
・本文ドラフトの作成
・表現のリライト
・Google Docs用の整形
## 5. 人間が確認する部分
・商品情報や価格などの事実確認
・未確認情報を公開してよいかの判断
・ブランドらしい表現になっているか
・顧客や読者に見せてよい内容か
・最終的に公開するかどうか
## 6. 実行結果
地域食品ブランドの新商品紹介記事をテーマに実行したところ、記事構成案、本文ドラフト、未確認事項、Google Docs用本文まで出力できました。
特に、発売日や価格を「要確認」として出せた点は有効でした。
## 7. 良かった点
・記事作成の下準備が短時間でできた
・構成案から本文まで流れを作れた
・人間が確認すべき項目を出せた
・Google Docsに貼り付けやすい形で出力できた
## 8. 改善点
・企画案が一般的になりやすい
・ブランドの個性を反映するには追加情報が必要
・写真や価格など、外部資料がない情報は確認が必要
・SNSやLPへの展開は別工程として追加したほうがよい
## 9. 改善案の優先順位
1. 企画案の評価基準を追加する
2. ブランドトーンを入力項目に追加する
3. SNS投稿案とLP見出し案を出力に追加する
4. Google Driveとの連携を想定した保存ルールを整える
5. 将来的にDifyやn8nで自動化を拡張する
## 10. 発表構成案
1. 作ったAIアプリの概要
2. 解決したい課題
3. 入力・処理・出力の説明
4. 実行結果の紹介
5. AIに任せる部分
6. 人間が確認する部分
7. 改善点
8. 今後の発展案
## 11. 発表原稿
私が作成したのは、初心者向けの記事作成AIアプリです。
このアプリでは、記事テーマや参考資料を入力すると、読者整理、資料要約、記事構成、本文ドラフト、品質チェック、Google Docs用出力までを順番に行います。
このワークフローで解決したい課題は、記事作成のたびに構成や本文をゼロから考える負担です。
AIに本文だけを書かせるのではなく、記事作成の工程を分けることで、出力内容を確認しやすくしました。
AIに任せる部分は、資料要約、構成作成、本文ドラフト、リライトです。
一方で、価格や発売日などの事実確認、公開判断、ブランドらしさの確認は人間が行う必要があります。
実際に使ってみると、下書き作成はかなり楽になりました。
ただし、企画案が一般的になりやすい点や、ブランドらしい表現には追加調整が必要だと感じました。
今後は、SNS投稿案やLP見出し案にも展開し、さらにDifyやn8nを使った自動化も検討したいです。
## 12. 想定質問と回答
### 質問1
AIが作った文章をそのまま公開できますか?
回答:
そのまま公開する前提ではありません。事実確認、表現確認、ブランドらしさの確認は人間が行います。
### 質問2
どの作業が一番楽になりましたか?
回答:
記事構成案を作る作業と、本文ドラフトを作る作業が楽になりました。最初のたたき台があることで、修正から始められるようになります。
### 質問3
今後どのように改善したいですか?
回答:
企画案の評価基準を追加し、記事だけでなくSNS投稿やLP見出しにも展開できるようにしたいです。
## 13. 次に発展させる方向
・SNS投稿案への展開
・LP見出し案への展開
・Google Drive保存ルールの整備
・DifyによるRAG活用
・n8nによる外部ツール連携
サンプル入力2:ES作成AIアプリを発表する
記事作成以外の事例も用意しておくと、教材として理解が深まります。
# サンプル入力2
## 作成したAIワークフローの名前
エントリーシート作成支援AIアプリ
## 解決したい課題
履歴書や経験メモはあるが、自己PRや志望動機の文章にまとめるのが難しい。
## 入力項目
・履歴書の内容
・経験メモ
・応募職種
・応募企業の情報
・文字数
・注意点
## 処理の流れ
1. 履歴書から経験を整理する
2. 強みを抽出する
3. 応募職種との接点を整理する
4. 自己PRの構成を作る
5. 志望動機の構成を作る
6. 文章案を作る
7. 経歴を盛っていないか確認する
8. 本人が確認すべき点を出す
## 出力される成果物
・強みの整理
・自己PR案
・志望動機案
・本人確認リスト
## 実行してみた結果
接客アルバイトと地域イベント運営の経験をもとに、企画職向けの自己PR案を作成できた。
## うまくいった点
・経験を整理しやすくなった
・応募職種との接点を考えやすくなった
・誇張しないための確認リストが出た
## 課題に感じた点
・本人らしい言葉にするには、追加修正が必要
・企業ごとの情報確認は人間が行う必要がある
## 今後改善したい点
・企業研究の入力欄を増やしたい
・面接想定質問にも展開したい
このサンプルでは、「AIに文章を盛らせない」ことが重要になります。
発表で使うチェックリスト
発表前に、次のチェックリストを使います。
| 確認項目 | OK |
|---|---|
| 作ったAIワークフローの目的を説明できる | |
| 入力項目を説明できる | |
| 処理の流れを説明できる | |
| 出力される成果物を説明できる | |
| AIに任せる部分を整理できている | |
| 人間が確認する部分を整理できている | |
| 実行結果を見せられる | |
| 改善点を説明できる | |
| 今後の発展案を説明できる |
このチェックリストを使うと、発表が「作りました」で終わらなくなります。
改善の考え方
AIワークフローは、1回作って完成ではありません。
使うたびに改善します。
flowchart TB
A[作る] --> B[試す]
B --> C[発表する]
C --> D[指摘を受ける]
D --> E[改善する]
E --> B

改善するときは、次のように分けて考えます。
| 改善対象 | 見直すこと |
|---|---|
| 入力 | 入力項目は足りているか |
| 処理 | 工程が多すぎないか、少なすぎないか |
| 出力 | 使いやすい形式になっているか |
| 品質 | 事実確認や表現リスクを確認できているか |
| 運用 | 誰が確認するか決まっているか |
| 拡張 | Difyやn8nに進む必要があるか |
人間が判断する部分を明確にする
AI活用で一番危ないのは、責任の場所が曖昧になることです。
そのため、発表では必ず次のように説明します。
AIは下書きや整理を担当します。
最終判断は人間が行います。
具体的には、次のように分けます。
| 人間が判断すること | 理由 |
|---|---|
| 公開してよいか | 内容に責任を持つ必要がある |
| 顧客に見せてよいか | 関係性や文脈がある |
| 事実として正しいか | AIが誤る場合がある |
| 表現が適切か | 相手への配慮が必要 |
| 会社や学校のルールに合うか | 内部ルールがある |
| 個人情報を含まないか | 取り扱いに注意が必要 |
ここを曖昧にしないことが、AI活用の信頼性につながります。
この節のまとめ
この節では、作成したAIワークフローを発表し、自動化できる工程と人間が確認すべき工程を整理しました。
ここまでの章では、AIを使った文章生成を、単発の作業ではなく、ワークフローとして学んできました。
flowchart TB
A[素材を入力する] --> B[AIが要約する]
B --> C[AIが企画案を出す]
C --> D[AIが構成を作る]
D --> E[AIが本文を作る]
E --> F[AIが品質チェックする]
F --> G[人間が確認する]
G --> H[必要に応じて改善する]

AIに任せるべきなのは、整理、下書き、案出し、形式変換です。
人間が担うべきなのは、確認、判断、責任、最終調整です。
この分担を説明できるようになると、AI活用はかなり実務に近づきます。
次の節では、生成した文章を画像・動画・Web制作へ展開する流れを学びます。