AI活用概論

AI企画会議アプリを作る:素材から企画案を量産する

この節で学ぶこと

前の節では、毎週の記事・レポート・振り返り資料を作るための「定期生成ワークフロー」を学びました。

今回は、さらに発展させます。

1つの素材から、記事案、SNS案、動画案、LP見出し案など、複数の企画へ展開するAIミニアプリを作ります。

たとえば、次のような素材が1つあったとします。

地域食品ブランドの新商品として、柚子を使った季節限定ドレッシングを発売する。

これを、ただの商品紹介文で終わらせるのではなく、次のように広げます。

記事案
SNS投稿案
ショート動画案
LP見出し案
メールマガジン案
店頭POP案
FAQ案

これが、AI企画会議アプリの考え方です。

Google Opalは、自然言語でAIミニアプリを作成し、編集可能なワークフローに変換できるツールです。Google公式ページでも、自然言語で作りたい内容を入力すると、編集可能なワークフローとAIミニアプリを作れると説明されています。

また、Google Developers Blogでは、Opalは自然言語の指示を視覚的なワークフローへ変換し、コードを書かずに細かく制御できると紹介されています。

まず、言葉を整理します

言葉意味
企画誰に、何を、どのように伝えるかを考えた案のこと
企画案実行前のアイデア。記事案、投稿案、動画案など
素材企画の元になる情報。商品情報、議事録、イベント情報、授業メモなど
展開1つの素材を、複数の形式に変えること
LPランディングページの略。商品やサービスを紹介し、問い合わせや購入につなげるページ
CTA読者に次の行動を促す言葉。例:購入する、問い合わせる、資料を見る
ペルソナ想定する具体的な読者や顧客像
切り口何を中心に見せるかという考え方。例:価格、ストーリー、季節感、使いやすさ
優先順位どの企画から先に実行するかを決める順番
企画会議複数のアイデアを出し、選び、改善する場

AI企画会議アプリは、AIに「何か良い企画を出して」と頼むだけのものではありません。

素材を整理し、読者を分け、媒体ごとに企画を出し、最後に優先順位をつけるアプリです。

なぜ企画会議アプリが必要なのか

文章生成AIを使うと、1つの記事や投稿は作れます。

しかし、実務では次のような悩みが出ます。

記事は作れたけど、SNSにはどう展開すればいいのか。
SNS投稿はできたけど、動画にすると何を見せればいいのか。
LPの見出しにすると、どの言葉がよいのか。
企画案が多すぎて、何からやるべきかわからない。

そこで、AIに「企画会議の進行役」をさせます。

flowchart TB
    A[素材を入力する] --> B[素材の要点を整理する]
    B --> C[誰に届けるかを分ける]
    C --> D[切り口を複数出す]
    D --> E[記事案を作る]
    D --> F[SNS案を作る]
    D --> G[動画案を作る]
    D --> H[LP見出し案を作る]
    E --> I[優先順位をつける]
    F --> I
    G --> I
    H --> I
    I --> J[次に作るものを決める]

これにより、1つの素材が、複数のコンテンツ企画へ広がります。

今回作るミニアプリ

今回作るのは、次のAIミニアプリです。

AI企画会議アシスタント

入力するものは、商品情報、イベント情報、議事録、授業メモなどです。

出力するものは、複数の企画案です。

入力項目内容
素材企画の元になる情報
目的認知拡大、問い合わせ、購入、学習、採用など
想定読者誰に届けるか
使いたい媒体記事、SNS、動画、LP、メールなど
伝えたい印象上品、親しみやすい、楽しい、信頼感など
注意点未確認情報を断定しない、誇張しないなど

出力するものは、以下です。

出力項目内容
素材の要約元情報の整理
想定読者誰に届けるか
企画の切り口どの方向で見せるか
記事案ブログやコラムの企画
SNS案Instagram、X、Threadsなどの投稿案
動画案ショート動画や説明動画の案
LP見出し案ページの見出しや訴求軸
メール案メルマガや案内文の方向性
優先順位先に実行する企画
確認事項事実確認が必要な内容

Google Opalに入れる完成プロンプト

Google Opalで新しいミニアプリを作成し、以下の指示を入力します。

AI企画会議アシスタントを作ってください。

目的:
1つの素材から、記事案、SNS投稿案、動画案、LP見出し案、メール案など、複数の企画へ展開するAIミニアプリにします。

入力:
・素材
・企画の目的
・想定読者
・使いたい媒体
・伝えたい印象
・必ず入れたい内容
・注意点

処理:
1. 入力された素材の内容を要約する
2. 素材の中から、企画に使える要素を抽出する
3. 想定読者を具体化する
4. 読者の関心や悩みを整理する
5. 企画の切り口を複数出す
6. 記事案を5つ作る
7. SNS投稿案を5つ作る
8. ショート動画案を5つ作る
9. LP見出し案を5つ作る
10. メールまたは案内文の企画案を3つ作る
11. 各企画のメリットと注意点を整理する
12. 実行しやすさ、効果の期待度、素材の有無をもとに優先順位をつける
13. 事実確認が必要な項目を一覧化する

出力形式:
Markdown形式

出力項目:
# AI企画会議アシスタント出力

## 1. 素材の要約
## 2. 企画に使える要素
## 3. 想定読者
## 4. 読者の関心・悩み
## 5. 企画の切り口
## 6. 記事案
## 7. SNS投稿案
## 8. ショート動画案
## 9. LP見出し案
## 10. メール・案内文案
## 11. 各企画のメリットと注意点
## 12. 優先順位
## 13. 事実確認が必要な項目
## 14. 次に作るべきもの

条件:
・素材にない事実を勝手に追加しない
・未確認情報は「要確認」と書く
・誇張表現や断定表現を避ける
・媒体ごとに向いた見せ方を変える
・初心者にもわかる言葉で出力する
・専門用語には短い説明を添える
・人間が最終確認する前提で出力する

Opalは、自然言語で作ったワークフローを編集し、プロンプトやツールを調整できると公式ブログで説明されています。

そのため、まずは上のプロンプトで基本形を作り、後から「SNSだけ増やす」「動画案だけ深掘りする」などの変更を加えると扱いやすくなります。

サンプル入力1:地域食品ブランドの商品を企画化する

まずは、地域食品ブランドの新商品を題材にします。

# サンプル入力1

## 素材
地域食品ブランドが、柚子を使った季節限定ドレッシングを発売する。
地元の農家から仕入れた柚子を使用しており、香りの良さが特徴。
サラダだけでなく、焼き魚、蒸し鶏、冷しゃぶにも使える。
ギフトセットにも入れる予定。
発売時期は秋を予定しているが、正確な発売日は未確認。
商品写真はまだ撮影前。
価格も未定。

## 企画の目的
新商品の認知を広げ、発売前から興味を持ってもらう。

## 想定読者
地域の食材や季節限定商品に関心がある30〜50代の女性。
家族の食事やギフト選びにも関心がある人。

## 使いたい媒体
・ブログ記事
・Instagram投稿
・ショート動画
・LP
・メールマガジン

## 伝えたい印象
季節感があり、上品で、食卓が少し楽しくなる印象。

## 必ず入れたい内容
・地元の柚子を使っていること
・サラダ以外にも使えること
・秋の季節限定であること
・ギフトにも向いていること

## 注意点
・発売日と価格は未確認として扱う
・商品写真はまだない前提で企画する
・効果を誇張しない
・実在しない販売実績を作らない

この入力では、素材が1つでも、複数の企画に展開できます。

期待される出力の形

# AI企画会議アシスタント出力

## 1. 素材の要約
地域食品ブランドが、地元の柚子を使った季節限定ドレッシングを発売予定です。香りの良さと、サラダ以外にも使える汎用性が特徴です。発売日は未確認、価格は未定、商品写真は撮影前です。

## 2. 企画に使える要素
・地元の柚子を使用
・秋の季節限定
・サラダ以外にも使える
・焼き魚、蒸し鶏、冷しゃぶとの相性
・ギフトセットにも展開予定
・発売前の期待感づくり

## 3. 想定読者
・季節感のある食材に関心がある人
・家族の食卓を少し楽しくしたい人
・地域食品やギフトを探している人
・料理のアレンジを知りたい人

## 4. 読者の関心・悩み
・いつもの料理を少し変えたい
・季節感のある調味料を使いたい
・ギフトに使える商品を探している
・ドレッシングをサラダ以外にも使いたい

## 5. 企画の切り口
1. 秋の食卓を楽しむ切り口
2. 地元食材を味わう切り口
3. サラダ以外の使い方を提案する切り口
4. ギフト需要に合わせた切り口
5. 発売前の期待感を高める切り口

## 6. 記事案
1. 秋の食卓に香りを添える、柚子ドレッシングの楽しみ方
2. サラダだけじゃない。柚子ドレッシングの使い道5選
3. 地元の柚子から生まれる、季節限定商品の裏側
4. 食卓にも贈り物にも。秋に選びたい地域食品ギフト
5. 発売前に知っておきたい、柚子ドレッシングの魅力

## 7. SNS投稿案
1. 「秋の食卓に、柚子の香りを。」新商品予告投稿
2. サラダ以外にも使えるドレッシング活用投稿
3. 地元の柚子を使った季節限定商品の紹介投稿
4. ギフトセットに入る予定の商品としての予告投稿
5. 発売前カウントダウン投稿

## 8. ショート動画案
1. 柚子ドレッシングをサラダにかける15秒動画
2. 焼き魚に少しかける使い方案
3. 蒸し鶏に合わせる食卓シーン
4. ギフト箱に商品を入れるイメージ動画
5. 柚子の香りを感じるような季節感動画

## 9. LP見出し案
1. 秋の食卓に、柚子の香りを。
2. サラダだけで終わらない、季節限定ドレッシング。
3. 地元の柚子から生まれた、秋だけの味わい。
4. 食卓にも、贈り物にも。
5. いつもの一皿に、ささやかな季節感を。

## 10. メール・案内文案
1. 季節限定ドレッシング発売予定のお知らせ
2. 秋のギフトセットに入る新商品のご案内
3. 発売前に知っておきたい使い方紹介メール

## 11. 各企画のメリットと注意点
### 記事企画
メリット:商品の背景や使い方を丁寧に伝えられる。
注意点:発売日や価格を断定しない。

### SNS企画
メリット:発売前の期待感を作りやすい。
注意点:商品写真がない場合は、素材写真やイメージ表現に注意する。

### 動画企画
メリット:使い方が直感的に伝わる。
注意点:実際の商品写真や調理シーンの撮影が必要。

### LP見出し
メリット:購入や予約につながる導線を作りやすい。
注意点:未確定情報を載せない。

## 12. 優先順位
1. SNS予告投稿
2. 使い方紹介記事
3. 商品写真撮影
4. LP見出し作成
5. メール案内文作成

理由:
発売日や価格が未定のため、まずは予告投稿と使い方提案で興味を高めるのが安全です。商品写真が撮影できた後に、LPやメールへ展開すると自然です。

## 13. 事実確認が必要な項目
・発売日
・価格
・内容量
・原材料表示
・ギフトセットの内容
・商品写真
・販売場所
・予約受付の有無

## 14. 次に作るべきもの
まずは、Instagramの予告投稿案と、商品写真撮影のためのカットリストを作ると進めやすいです。

この出力を見ると、1つの商品素材から、記事、SNS、動画、LP、メールへ展開できていることがわかります。

サンプル入力2:イベント素材から集客企画を作る

次は、イベントの事例です。

# サンプル入力3

## 素材
大垣市で、架空の食イベント「水都おおがき肉フェス」を企画している。
肉料理をテーマに、焼肉、ステーキ、からあげ、肉寿司、地元野菜との組み合わせなど、さまざまな食べ方を楽しめるイベントにしたい。
家族連れ、友人同士、観光客が楽しめる雰囲気を目指している。
開催日、会場、出店者、チケット価格は未定。
イベント名やロゴ、SNS発信、告知ページの企画を作りたい。

## 企画の目的
架空イベントの魅力を整理し、告知に使える企画案を作る。

## 想定読者
週末に家族や友人と楽しめるイベントを探している人

## 使いたい媒体
・告知記事
・Instagram投稿
・ショート動画
・LP見出し
・チラシ見出し

## 伝えたい印象
楽しく、食欲をそそり、家族でも参加しやすい印象。

## 必ず入れたい内容
・肉料理の多様さ
・大垣らしさ
・家族でも楽しめる雰囲気
・写真を撮りたくなる会場演出
・未定情報は断定しないこと

## 注意点
・開催日、会場、出店者、価格は未定として扱う
・実在の店舗名を勝手に出さない
・来場者数や実績を作らない

この例では、未定情報を断定しないことが重要です。

企画案を評価する

AIが企画案をたくさん出してくれると、次に迷うのは「どれからやるか」です。

そこで、評価基準を入れます。

評価項目意味
実行しやすさすぐに作れるか
効果の期待度読者や顧客に届きやすいか
素材の有無写真、文章、情報がそろっているか
リスクの低さ未確認情報や誇張表現が少ないか
次につながるか記事、SNS、LPなどに展開しやすいか

Opalに追加する指示は、次のようにします。

各企画案を、以下の5項目で評価してください。

評価項目:
・実行しやすさ
・効果の期待度
・素材の有無
・リスクの低さ
・次への展開しやすさ

それぞれ5段階で評価し、最後に優先順位をつけてください。

精度が低いときの改善方法

企画案が物足りない場合は、次のように直します。

症状追加する指示
企画が一般的素材ならではの特徴を必ず反映してください。
SNS案が弱い1枚目のタイトル、本文、画像イメージまで出してください。
動画案が曖昧冒頭3秒、見せるシーン、最後の一言まで作ってください。
LP案が弱いファーストビュー、課題提示、魅力、CTAの順で見出しを作ってください。
企画が多すぎる実行優先度の高い順に3つだけ選んでください。
未確認情報を断定する未確認情報は必ず「要確認」と明記してください。
似た企画ばかり出る読者、媒体、切り口が重ならないようにしてください。

自分用に改造する

サンプルで動かしたら、自分の用途に合わせて変えます。

SNS運用向け

このミニアプリを、SNS運用の企画会議アプリに変更してください。

追加する出力:
・Instagram投稿案
・リール案
・ストーリーズ案
・X投稿案
・投稿カレンダー案
・ハッシュタグ案
・撮影に必要な素材リスト

商品販売向け

このミニアプリを、商品販売の企画会議アプリに変更してください。

追加する出力:
・商品紹介記事案
・LP見出し案
・メール案内文
・店頭POP案
・ギフト訴求案
・FAQ案
・購入前の不安を解消する説明案

授業教材向け

このミニアプリを、授業教材企画アプリに変更してください。

追加する出力:
・教材タイトル案
・授業の流れ
・演習課題
・復習記事案
・確認テスト案
・ショート解説動画案

この節のまとめ

この節では、1つの素材から、複数の企画へ展開するAI企画会議アプリを作りました。

前の節までは、記事やレポートを定期的に作る流れを学びました。

今回は、その前段階として「何を作るか」を広げる方法を学びました。

flowchart TB
    A[素材] --> B[AI企画会議]
    B --> C[記事案]
    B --> D[SNS案]
    B --> E[動画案]
    B --> F[LP見出し案]
    B --> G[メール案]
    C --> H[優先順位を決める]
    D --> H
    E --> H
    F --> H
    G --> H

AI企画会議アプリの価値は、アイデアを増やすことだけではありません。

素材を整理する。

読者を考える。

媒体ごとに切り口を変える。

企画を評価する。

優先順位をつける。

ここまでできると、AIは単なる文章作成ツールではなく、企画会議の相棒になります。

次の節では、こうしたワークフローで使うプロンプトを「部品」として整理し、再利用できる形にしていきます。

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