AI活用概論

プロンプトを部品化する:再利用できる指示文を作る

この節で学ぶこと

前の節では、1つの素材から、記事案・SNS案・動画案・LP見出し案などへ展開する「AI企画会議アプリ」を作りました。

今回は、その中で使ってきた指示文を「部品」として整理します。

Google Opalでは、自然言語で作りたい内容を入力すると、編集可能なワークフローとAIミニアプリを作成できます。公式ページでも、自然言語からワークフローを作り、作成したアプリを共有・公開できると説明されています。

この節のゴールは、毎回ゼロからプロンプトを書くのではなく、読者分析、要約、構成、本文生成、編集、品質確認などの指示文を再利用できる形にすることです。

まず、言葉を整理します

言葉意味
プロンプトAIに出す指示文のこと
部品化よく使う指示文を、使い回せる小さなまとまりにすること
再利用同じ指示文を、別の場面でも使えるようにすること
読者分析誰に向けて書くのかを整理すること
要約長い文章から重要な部分を短くまとめること
構成文章の見出しや順番を決めること
本文生成構成に沿って文章の下書きを作ること
編集文章を読みやすく整えること
品質確認事実確認、表現リスク、読みやすさなどを確認すること
テンプレート毎回使える型のこと

プロンプトは、一度だけ使う「お願い文」ではありません。

よく使う指示は、部品として保存しておくと、次の制作がとても楽になります。

なぜプロンプトを部品化するのか

AIを使い始めたばかりの頃は、毎回このように入力しがちです。

いい感じに記事を書いてください。

しかし、この指示では、AIは何を重視すればよいか分かりません。

読者は誰なのか。

何を伝えたいのか。

どの媒体に使うのか。

どのくらいの文字数なのか。

どんな表現を避けるのか。

こうした情報が抜けると、出力は毎回ぶれます。

そこで、指示文を部品に分けます。

flowchart TB
    A[素材] --> B[読者分析プロンプト]
    B --> C[要約プロンプト]
    C --> D[構成プロンプト]
    D --> E[本文生成プロンプト]
    E --> F[編集プロンプト]
    F --> G[品質確認プロンプト]
    G --> H[出力整形プロンプト]

このように分けると、どこで何をしているのかが見えます。

AIの出力が悪かったときも、「本文生成が悪いのか」「読者分析が弱いのか」「品質確認が足りないのか」を確認しやすくなります。

今回作るミニアプリ

今回作るのは、次のAIミニアプリです。

プロンプト部品化アシスタント

このミニアプリでは、作りたい成果物を入力すると、必要なプロンプト部品を自動で作ります。

たとえば、次のような成果物に対応します。

作りたい成果物必要なプロンプト部品
記事読者分析、要約、構成、本文生成、品質確認
SNS投稿読者分析、切り口整理、投稿文生成、ハッシュタグ、画像案
レポート要約、論点整理、主張整理、構成、出典確認
提案書課題整理、原因分析、提案案、メリット・注意点、確認事項
エントリーシート経験整理、強み抽出、応募先との接点、文章生成、誇張チェック
授業教材用語説明、学習目標、流れ、例題、演習、振り返り

この節では、まず「記事作成」を例にして、プロンプトを部品化します。

その後、レポート、エントリーシート、提案書にも展開します。

プロンプト部品の基本セット

文章生成ワークフローで使いやすい基本セットは、次の7つです。

番号部品名役割
1読者分析プロンプト誰に向けるかを整理する
2要約プロンプト素材の要点を短くまとめる
3論点整理プロンプト課題、原因、確認事項を分ける
4構成プロンプト見出しや流れを作る
5本文生成プロンプト構成に沿って本文を作る
6編集プロンプト文体や読みやすさを整える
7品質確認プロンプト事実確認、表現リスク、未確認事項を確認する

この7つを持っておくと、多くの文章作成に応用できます。

Google Opalに入れる完成プロンプト

Google Opalで新しいミニアプリを作成し、以下の指示を入力します。

プロンプト部品化アシスタントを作ってください。

目的:
作りたい成果物に合わせて、読者分析、要約、論点整理、構成、本文生成、編集、品質確認などのプロンプトを部品として整理するAIミニアプリにします。

入力:
・作りたい成果物
・素材の種類
・想定読者
・使用する媒体
・文章の目的
・注意したい表現
・希望する出力形式

処理:
1. 作りたい成果物を確認する
2. 必要な作業工程を分解する
3. 各工程で使うプロンプト部品を作る
4. それぞれのプロンプトの役割を説明する
5. 入力項目と出力項目を整理する
6. 再利用しやすい形に整える
7. 最後に、Google Opalで使うワークフロー順に並べる

出力形式:
Markdown形式

出力項目:
# プロンプト部品化アシスタント出力

## 1. 作りたい成果物
## 2. 必要な作業工程
## 3. プロンプト部品一覧
## 4. 各プロンプトの役割
## 5. 各プロンプトの入力項目
## 6. 各プロンプトの出力項目
## 7. そのまま使えるプロンプト集
## 8. Google Opalでのワークフロー順
## 9. 改造するときのポイント

条件:
・初心者にもわかる言葉で説明する
・専門用語には短い説明を添える
・1つのプロンプトに複数の作業を詰め込みすぎない
・再利用しやすいように、入力項目と出力項目を明確にする
・事実確認や表現リスク確認のプロンプトを必ず含める

Google OpalのQuickstartでは、自然言語で作りたいアプリを説明して作成し、後から既存のOpalに変更指示を追加できると説明されています。

そのため、まず上のプロンプトで全体を作り、後から「レポート用に変更」「SNS用に変更」のように改造する流れが扱いやすいです。

サンプル入力1:記事作成用のプロンプト部品を作る

まずは、記事作成を題材にします。

# サンプル入力1

## 作りたい成果物
初心者向けの記事

## 素材の種類
授業メモ、参考資料、企画メモ

## 想定読者
AIを使って文章作成を始めたい初心者

## 使用する媒体
ブログ記事、Google Docs教材

## 文章の目的
AIを使って記事を作るときに、読者整理、構成作成、本文生成、品質確認の流れを理解してもらう

## 注意したい表現
・AIに丸投げすればよいという表現は避ける
・未確認情報を断定しない
・専門用語は説明する

## 希望する出力形式
Markdown

この入力を実行すると、記事作成に必要なプロンプト部品が出力されます。

期待される出力例

# プロンプト部品化アシスタント出力

## 1. 作りたい成果物
初心者向けの記事

## 2. 必要な作業工程
1. 読者分析
2. 素材の要約
3. 論点整理
4. 記事構成作成
5. 本文生成
6. 編集
7. 品質確認
8. Google Docs用整形

## 3. プロンプト部品一覧
・読者分析プロンプト
・要約プロンプト
・論点整理プロンプト
・記事構成プロンプト
・本文生成プロンプト
・編集プロンプト
・品質確認プロンプト
・出力整形プロンプト

## 4. 各プロンプトの役割
読者分析プロンプトは、誰に向けて記事を書くのかを整理します。
要約プロンプトは、素材の重要点を短くまとめます。
論点整理プロンプトは、読者が知りたいことや確認すべき点を分けます。
記事構成プロンプトは、見出しの順番を作ります。
本文生成プロンプトは、構成に沿って下書きを作ります。
編集プロンプトは、文体や読みやすさを整えます。
品質確認プロンプトは、事実確認や表現リスクを確認します。
出力整形プロンプトは、Google Docsに貼り付けやすい形にします。

## 5. 各プロンプトの入力項目
・素材
・想定読者
・記事の目的
・使用媒体
・文体
・注意点
・希望文字数

## 6. 各プロンプトの出力項目
・読者像
・読者の悩み
・要約
・論点
・記事構成
・本文ドラフト
・修正方針
・品質チェック結果
・Docs貼り付け用本文

ここから、実際に使えるプロンプト部品を作ります。

そのまま使えるプロンプト部品集

1. 読者分析プロンプト

以下の素材をもとに、想定読者を整理してください。

入力:
・素材
・使用媒体
・文章の目的

出力:
1. 想定読者
2. 読者が知りたいこと
3. 読者が不安に感じそうなこと
4. 読者が記事を読んだ後に得たい状態
5. 文章で避けるべき表現

条件:
・初心者にもわかる言葉で書く
・読者を広げすぎない
・不明な情報は断定しない

読者分析とは、「誰に向けて書くか」を整理する工程です。

ここが曖昧なままだと、文章全体がぼんやりします。

2. 要約プロンプト

以下の素材を要約してください。

入力:
・素材本文
・素材の種類
・作りたい成果物

出力:
1. 3行要約
2. 重要ポイント
3. 使えそうな情報
4. 不足している情報
5. 事実確認が必要な情報

条件:
・素材に書かれていないことは追加しない
・重要度の高い順に整理する
・未確認情報は「要確認」と書く

要約は、長い素材を短くするだけではありません。

次の工程で使いやすいように、重要な情報を取り出す作業です。

3. 論点整理プロンプト

以下の要約をもとに、論点を整理してください。

入力:
・要約
・想定読者
・文章の目的

出力:
1. 読者に伝えるべき論点
2. 読者が疑問に感じそうな点
3. 追加で確認すべき情報
4. 記事で扱わないほうがよい内容
5. 次の工程で使うべき材料

条件:
・事実と意見を分ける
・未確認の内容は断定しない
・読者にとって重要な順に並べる

論点とは、「何を考えるべきか」「何を伝えるべきか」という中心テーマです。

4. 記事構成プロンプト

以下の論点をもとに、記事構成を作ってください。

入力:
・記事テーマ
・想定読者
・論点
・記事の目的
・希望文字数

出力:
1. 記事タイトル案
2. 導入文の方向性
3. H2見出し
4. H3見出し
5. 各見出しで書く内容
6. 読者に促す次の行動

条件:
・読む順番が自然になるようにする
・専門用語が出る場合は説明を入れる
・最初に読者の悩みを受け止める
・最後にまとめと次の行動を入れる

構成は、記事の設計図です。

構成が弱いと、本文をどれだけきれいに書いても読みにくくなります。

5. 本文生成プロンプト

以下の記事構成に沿って、本文ドラフトを作成してください。

入力:
・記事構成
・想定読者
・文体
・希望文字数
・必ず入れたい内容
・注意点

出力:
1. 本文ドラフト
2. 各見出しの要点
3. 事実確認が必要な箇所

条件:
・構成にない話を勝手に広げすぎない
・初心者にもわかる言葉で書く
・一文を長くしすぎない
・断定しすぎない
・未確認情報は「要確認」とする

本文生成では、すでに構成がある状態で書かせます。

いきなり本文を書かせるより、かなり安定します。

6. 編集プロンプト

以下の本文ドラフトを、想定読者に合わせて読みやすく編集してください。

入力:
・本文ドラフト
・想定読者
・文体
・使用媒体

出力:
1. 編集後の本文
2. 修正した箇所の説明
3. まだ確認が必要な箇所

条件:
・意味を大きく変えない
・専門用語には説明を入れる
・同じ表現の繰り返しを減らす
・読みやすい段落に分ける
・強すぎる表現は自然に弱める

編集は、「よく見せる」だけではありません。

読者に伝わる形へ整える工程です。

7. 品質確認プロンプト

以下の文章を品質確認してください。

入力:
・本文
・想定読者
・公開媒体
・注意したい表現

出力:
1. 良い点
2. 事実確認が必要な箇所
3. 誇張表現・断定表現
4. 読みにくい箇所
5. 構成上の改善点
6. 人間が最終確認すべき点

条件:
・数字、日付、価格、制度、固有名詞は確認対象にする
・未確認情報は「要確認」とする
・読者に誤解を与える表現を抽出する
・公開前に人間が確認する前提で出力する

品質確認は、AI原稿をそのまま使わないための重要な工程です。

8. 出力整形プロンプト

以下の確認済み本文を、Google Docsに貼り付けやすい形に整えてください。

入力:
・確認済み本文
・文書の種類
・保存先フォルダ
・共有相手
・現在の状態

出力:
1. Google Docs用タイトル
2. ファイル名案
3. 保存先フォルダ案
4. Google Docs貼り付け用本文
5. 共有メッセージ案
6. 共有前チェックリスト

条件:
・ファイル名には日付、文書種類、テーマ、状態を含める
・見出しの階層がわかるようにする
・共有相手に失礼のない丁寧な表現にする

出力整形は、AIで作った文章を実務で使える文書に変える工程です。

Google Opalでのワークフロー順

Opalで組む場合は、次の順番にします。

flowchart TB
    A[Input: 素材・目的・読者] --> B[読者分析]
    B --> C[要約]
    C --> D[論点整理]
    D --> E[構成作成]
    E --> F[本文生成]
    F --> G[編集]
    G --> H[品質確認]
    H --> I[出力整形]
    I --> J[Output: Docs用本文・確認事項]

Google Opalは、Input、Generate、Outputなどのステップを組み合わせられることが公式の概要ページで説明されています。

この順番で設計すると、「AIが何をしているか」が見えやすくなります。

サンプル入力2:レポート用のプロンプト部品を作る

次は、授業レポート用に変えてみます。

# サンプル入力2

## 作りたい成果物
授業レポート

## 素材の種類
授業メモ、自分の感想、参考資料

## 想定読者
授業担当の先生

## 使用する媒体
Google Docs、提出用PDF

## 文章の目的
授業で学んだ内容を整理し、自分の意見と考察を含めたレポートを作る

## 注意したい表現
・AIに丸投げしたような文章にしない
・自分の意見を残す
・出典が必要な情報を断定しない
・感想だけで終わらせない

## 希望する出力形式
Markdown

この場合、必要なプロンプト部品は少し変わります。

記事作成レポート作成
読者分析課題条件確認
要約授業内容要約
論点整理主張と根拠の整理
構成作成序論・本論・結論
本文生成レポート本文
品質確認出典・自分の意見チェック

レポートでは、特に「主張」「根拠」「自分の考察」を分けるプロンプトが大切になります。

以下の授業メモと自分の感想をもとに、レポートで使う主張・根拠・考察を分けて整理してください。

出力:
1. レポートで主張できること
2. その根拠になる授業内容
3. 自分の考察
4. 出典確認が必要な情報
5. 本文で注意すべき点

条件:
・感想だけで終わらせない
・事実と意見を分ける
・自分の考えが残るようにする

サンプル入力3:エントリーシート用のプロンプト部品を作る

次は、就職活動の文章に応用します。

# サンプル入力3

## 作りたい成果物
エントリーシート

## 素材の種類
履歴書、経験メモ、応募企業情報、募集要項

## 想定読者
採用担当者

## 使用する媒体
応募フォーム、Google Docs下書き

## 文章の目的
本人の経験をもとに、自己PRと志望動機を作る

## 注意したい表現
・経歴や実績を盛らない
・本人が実際に行ったことを書く
・抽象的な自己PRで終わらせない
・応募企業との接点を自然に入れる

## 希望する出力形式
Markdown

エントリーシートでは、記事作成とは違い、「事実を盛らない」ことがとても重要です。

使いやすいプロンプト部品は、次のようになります。

以下の履歴書と経験メモをもとに、自己PRに使える経験を整理してください。

出力:
1. 本人の強み
2. 強みの根拠になる経験
3. 実際に行った行動
4. その行動から学んだこと
5. 応募職種との接点
6. 盛って見えやすい表現と修正案

条件:
・経歴や成果を勝手に追加しない
・不明な情報は「要確認」とする
・本人らしい自然な表現にする

このように、成果物が変われば、プロンプト部品も変わります。

サンプル入力4:提案書用のプロンプト部品を作る

次は、顧客向け提案書です。

# サンプル入力4

## 作りたい成果物
顧客向け提案書

## 素材の種類
議事録、顧客要望、課題リスト、参考資料

## 想定読者
顧客担当者、社内決裁者

## 使用する媒体
Google Docs、PDF

## 文章の目的
顧客の課題を整理し、複数の提案方向性を提示する

## 注意したい表現
・顧客の現状を否定しすぎない
・未確認事項を断定しない
・提案のメリットだけでなく注意点も示す
・社内向けメモと顧客向け文章を分ける

## 希望する出力形式
Markdown

提案書では、次のプロンプト部品が役立ちます。

以下の議事録と顧客要望をもとに、提案書に使える課題整理を行ってください。

出力:
1. 顧客が話していた課題
2. 課題の背景にありそうな原因
3. 未確認事項
4. 提案できる方向性
5. 各提案のメリット
6. 各提案の注意点
7. 顧客向けに表現するときの言い換え

条件:
・議事録にない決定事項を作らない
・未確認の内容は「未確認」と書く
・顧客の現状を責める表現にしない
・丁寧で自然な表現にする

プロンプト部品を保存するときのルール

プロンプト部品は、保存方法も大切です。

おすすめは、次のように分類することです。

プロンプト集
├── 01_読者分析
├── 02_要約
├── 03_論点整理
├── 04_構成作成
├── 05_本文生成
├── 06_編集
├── 07_品質確認
├── 08_出力整形
└── 09_用途別

ファイル名は、次のようにします。

読者分析_記事用_v1
要約_議事録用_v1
品質確認_提案書用_v1
本文生成_レポート用_v1

v1 はバージョンです。 あとで改良したら、v2v3 のように増やします。

精度が低いときの改善方法

プロンプト部品を使っても、最初から完璧にはなりません。

症状改善方法
出力が浅い入力項目を増やす
毎回ばらつく出力項目を固定する
文章が硬い文体条件を追加する
読者とズレる読者分析プロンプトを強化する
事実確認が弱い品質確認プロンプトに固有名詞・数字・日付の確認を入れる
企画が一般的素材ならではの特徴を抽出する工程を追加する
長すぎる文字数や行数を指定する
短すぎる各項目に具体例を入れるよう指定する

この節のまとめ

この節では、読者分析、要約、構成、本文生成、編集、品質確認などの指示文を、プロンプト部品として整理しました。

前の節では、AI企画会議アプリで複数の企画案を作りました。

今回は、その中で使う指示を分解し、再利用できる形にしました。

flowchart TB
    A[毎回ゼロから指示を書く] --> B[よく使う指示を取り出す]
    B --> C[プロンプト部品にする]
    C --> D[Opalのワークフローに組み込む]
    D --> E[別の成果物にも再利用する]

プロンプトを部品化すると、AIミニアプリを作るスピードが上がります。

また、出力が悪いときに、どの部品を直せばよいかも分かりやすくなります。

次の節では、ここまで作ってきた仕組みを使って、自分専用の記事作成AIアプリを完成させます。

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