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この章の目標
この章では、Hermes Agentを使う前に、まず「AIエージェントとは何か」を理解します。
ChatGPTのようなAIチャットと、Hermes AgentのようなAIエージェントは似ています。
どちらも文章でやり取りできます。
しかし、役割は同じではありません。
AIチャットは、主に質問に答えるためのものです。
AIエージェントは、作業を進めるためのものです。
ここが大事です。
1-1. AIチャットとAIエージェントの違い
まず、AIチャットを考えてみます。
たとえば、ChatGPTに次のように聞いたとします。
HTMLとは何ですか?
すると、AIはHTMLの意味を説明してくれます。
これは「質問に答える」使い方です。
では、次のように頼んだらどうでしょうか。
HTMLとCSS、Javascriptを使ってホームページを作ってください。テーマはコーヒーショップのホームページです。
この場合、AIは教材の流れを考え、課題を作り、説明文まで用意してくれます。
さらにAIエージェントになると、次のような作業に近づきます。
このフォルダのHTMLファイルを確認して、
見出し構造と画像のalt属性に問題がないか調べてください。
問題があれば、修正案も出してください。
このように、AIエージェントは単に答えるだけではありません。
作業の目的を理解し、手順に分け、必要に応じてファイルやツールを扱う存在です。
1-2. Hermes Agentとは
Hermes Agentは、Nous Researchが公開しているAIエージェントです。
公式ドキュメントでは、Hermes Agentは「経験からスキルを作り、使いながら改善し、知識を保存していくAIエージェント」と説明されています。
つまり、Hermes Agentは一回だけ会話して終わるAIではありません。
過去の作業をもとに、次の作業を進めやすくする仕組みを持っています。
たとえば、次のような使い方が考えられます。
前回と同じ形式で、Web制作の授業資料を作ってください。
今回はテーマを「APIの使い方」にしてください。
通常のAIチャットでも近いことはできます。
しかし、Hermes Agentは、記憶やスキルの仕組みを使って、継続的な作業をしやすくすることを目指しています。
1-3. Hermes Agentでできること
Hermes Agentでは、次のようなことができます。
- AIと対話する
- 作業を手順に分ける
- 過去の会話や作業を記憶する
- よく使う作業をスキルとして保存する
- 外部ツールと連携する
- ローカルPCやサーバー上で動かす
- LLMを切り替える
ここで重要なのは、Hermes Agentそのものが「頭脳」ではないという点です。
Hermes Agentは、AIエージェントとして作業を進めるための仕組みです。
実際に文章を考える頭脳部分は、別のLLMが担当します。
1-4. LLMとは何か
LLMとは、Large Language Modelの略です。
日本語では、大規模言語モデルと呼ばれます。
簡単に言えば、文章を理解し、文章を生成するAIの頭脳です。
たとえば、次のようなモデルがあります。
- GPT系モデル
- Claude系モデル
- Gemini系モデル
- Llama系モデル
- Qwen系モデル
- Gemma系モデル
- Mistral系モデル
Hermes Agentを使う時は、このLLMをどこで動かすかを考える必要があります。
大きく分けると、2つの方法があります。
| 方法 | 意味 | 特徴 |
|---|---|---|
| クラウドLLM | OpenAI、Anthropic、Google、OpenRouterなどのAPIを使う | PCスペックに左右されにくい |
| ローカルLLM | 自分のPCにモデルをダウンロードして動かす | 通信量やプライバシー面で利点があるが、PC性能が必要 |
Hermes Agent公式のAI Providersページでも、OpenRouterやAnthropicのようなクラウドAPI、OllamaやvLLMのようなセルフホスト型エンドポイントを設定できると説明されています。
1-5. ローカルLLMとは
ローカルLLMとは、自分のPCの中で動かすLLMです。
たとえば、Ollamaというソフトを使うと、LLMを自分のPCにダウンロードして実行できます。
ローカルLLMのメリットは、次の通りです。
-
自分のPC内で動かせる
-
外部APIに送らず試せる場面がある
-
API料金を抑えられる場合がある
-
学習用として仕組みを理解しやすい ただし、デメリットもあります。
-
PCのメモリが必要
-
モデルのダウンロード容量が大きい
-
大きなモデルは動作が重い
-
高性能なGPUがある方が速い OllamaのWindows公式ドキュメントでは、Ollama本体のインストールに少なくとも4GBの空き容量が必要で、LLMモデルの保存には追加容量が必要、モデルによっては数十GBから数百GBになることがあると説明されています。
1-6. npmとは何か
Hermes Agentを学ぶ時、途中でNode.jsやnpmという言葉が出てきます。
Node.jsは、JavaScriptをPCやサーバー上で動かすための実行環境です。
Node.js公式サイトでも、Node.jsはサーバー、Webアプリ、コマンドラインツールなどを作るためのJavaScript実行環境と説明されています。
npmは、Node.jsで使う部品を管理するための道具です。
たとえば、Webアプリを作る時に、毎回すべてをゼロから作るのは大変です。
そこで、世界中の開発者が公開している便利な部品を使います。
その部品をインストールする時に使うのがnpmです。
たとえば、次のようなコマンドがあります。
npm install
これは、プロジェクトに必要な部品をまとめてインストールする命令です。
初心者向けに言えば、npmは「JavaScript用の道具箱を取り寄せる仕組み」です。
npm公式ドキュメントでは、Node.jsとnpm CLIを使うには、Node.jsをNode Version ManagerまたはNode Installerでインストールすると説明されています。
1-7. Hermes Agentとnpmの関係
Hermes Agentの公式インストール説明では、インストーラーがPython、Node.js、ripgrep、ffmpegなどの依存関係を自動で準備すると説明されています。
つまり、初心者がいきなりnpmを深く理解する必要はありません。
ただし、次のような場面でnpmが関係します。
- ブラウザ操作系の機能を使う
- Node.jsベースのツールを使う
- MCPサーバーを追加する
- JavaScript系の外部ツールと接続する
そのため、授業では次の理解で十分です。
Node.jsは、JavaScriptをPCで動かすための土台。
npmは、JavaScriptの部品を入れるための道具。
Hermes Agentは、必要に応じてNode.jsやnpmの仕組みを使う。
1-8. 初心者が最初に覚える言葉
Hermes Agentを学ぶ前に、次の言葉だけは押さえておきます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| AIチャット | 質問に答えるAI |
| AIエージェント | 作業を進めるAI |
| LLM | AIの頭脳 |
| ローカル | 自分のPC上 |
| クラウド | インターネット上のサービス |
| Node.js | JavaScriptをPCで動かす土台 |
| npm | JavaScriptの部品を入れる道具 |
| APIキー | 外部AIサービスを使うための秘密の鍵 |
| localhost | 自分のPC自身を表す住所 |
| ターミナル | 文字でPCに命令する画面 |
1-9. Tips
PCスペックに合わせたLLMの選び方
LLMは、大きければ必ず良いわけではありません。
PCの性能に合っていないモデルを選ぶと、動きが遅くなったり、起動できなかったりします。
初心者は、まず軽いモデルから試すのが安全です。
目安は次の通りです。
| PCの目安 | 選びやすいモデル規模 | コメント |
|---|---|---|
| メモリ8GB | 1B〜3B程度 | まず動作確認用 |
| メモリ16GB | 3B〜8B程度 | 学習・簡単な文章生成向け |
| メモリ32GB | 7B〜14B程度 | 実用的な検証がしやすい |
| メモリ64GB以上 | 14B〜32B以上 | 長文処理や開発補助も試しやすい |
これはあくまで授業用の目安です。
実際には、モデルの量子化形式、GPU、VRAM、コンテキスト長、同時実行数によって変わります。
CODE MagazineのローカルLLM解説では、量子化された7Bモデルの目安として6〜8GB程度のRAMが必要になり、大きいモデルでは必要メモリが急速に増えると説明されています。
また、OllamaのWindows公式ドキュメントでも、モデル保存には追加容量が必要で、モデルによっては数十GBから数百GBになる場合があると説明されています。
初心者向けの結論は、これです。
最初は小さいLLMで試す。
動いたら、少し大きいLLMに変える。
重くなったら、元に戻す。
背伸びしすぎないこと。
ここが、ローカルLLMを扱う最初のコツです。
1-10. この章のまとめ
Hermes Agentは、ただ質問に答えるAIではありません。作業を進めるためのAIエージェントです。ただし、Hermes Agentだけで完結するわけではありません。
Hermes Agentには、頭脳となるLLMが必要です。そのLLMは、クラウドAPIで使うことも、自分のPCにダウンロードしてローカルで使うこともできます。
また、Hermes Agentを動かす周辺には、Node.js、npm、Python、ターミナル、localhostなどの言葉が出てきます。
最初から全部を完璧に理解する必要はありません。まずは、次の3つだけ覚えておけば大丈夫です。
- Hermes Agentは作業を進めるAIエージェント
- LLMはHermes Agentの頭脳
- ローカルLLMはPCスペックに合わせて小さいものから選ぶ
次の章では、実際にHermes Agentを動かす前に、Node.js、npm、ターミナル、localhostの基礎を整理します。