AI活用と意思決定デザイン

【ロジックツリー】勝てない理由を枝分かれで見える化する

この授業の位置づけ

前回の 2-3 では、敗因を プレイ・連携・判断・メンタル の4つに分ける方法を学びました。

今回の 2-4 では、その4分類を使って、勝てない理由をさらに細かく分解します。

テーマは、ロジックツリーです。

ロジックツリーとは、大きな問題を枝分かれさせながら、原因候補を見える形に整理する方法です。

eスポーツで言えば、「勝てない」「ランクが上がらない」「終盤で負ける」といった大きな問題を、プレイ・連携・判断・メンタルに分け、さらにその下に細かい原因候補を書き出していく作業です。

この節で大切なのは、次の一文です。

勝てない理由は、頭の中で考えるだけでなく、枝分かれにして見える化すると改善しやすくなる。

この節の到達目標

この節を終えると、次のことができるようになります。

  • ロジックツリーとは何かを説明できる
  • 「勝てない理由」を枝分かれで整理できる
  • プレイ・連携・判断・メンタルの4分類を使って原因候補を広げられる
  • 原因候補と改善行動を混ぜずに整理できる
  • 次の 2-5 で扱う「仮説思考」につなげられる

今日のキーワード

今日のキーワードは、ロジックツリーです。

ロジックツリーとは、1つの大きな問題を、原因候補や要素に分けて整理する図のことです。

たとえば、次のような形です。

大きな問題
├─ 原因候補A
│  ├─ 小さな原因A-1
│  └─ 小さな原因A-2
├─ 原因候補B
│  ├─ 小さな原因B-1
│  └─ 小さな原因B-2
└─ 原因候補C
   ├─ 小さな原因C-1
   └─ 小さな原因C-2

ポイントは、いきなり「これが原因だ」と決めつけないことです。

まずは、考えられる原因候補を枝分かれで並べます。

1. なぜロジックツリーが必要なのか

負けたあと、頭の中だけで反省すると、原因がぼんやりしやすくなります。

よくある反省:
- 判断が悪かった
- 連携が取れなかった
- エイムが弱かった
- 焦っていた

これらは間違いではありません。

ただし、まだ広すぎます。

たとえば「判断が悪かった」と言っても、実際にはいろいろあります。

判断が悪かった、の中身:
- 攻めるタイミングが早すぎた
- 引く判断が遅かった
- 人数有利なのに無理をした
- スキルを使うタイミングが悪かった
- 味方の位置を見ずに動いていた

ここまで分けると、「次に何を確認するか」が見えやすくなります。

ロジックツリーは、反省を感覚で終わらせず、原因候補を見える化するための道具です。

2. ロジックツリーの基本形

ロジックツリーは、まず一番上に大きな問題を書きます。

その下に、原因候補を枝分かれさせます。

基本の形

flowchart TD
    A[大きな問題] --> B[原因候補1]
    A --> C[原因候補2]
    A --> D[原因候補3]

    B --> B1[小さな原因1]
    B --> B2[小さな原因2]

    C --> C1[小さな原因1]
    C --> C2[小さな原因2]

    D --> D1[小さな原因1]
    D --> D2[小さな原因2]

eスポーツでは、前回学んだ4分類をそのまま使うと分かりやすいです。

flowchart TD
    A[勝てない] --> B[プレイ]
    A --> C[連携]
    A --> D[判断]
    A --> E[メンタル]

    B --> B1[エイムが安定しない]
    B --> B2[キャラ理解が浅い]

    C --> C1[報告が遅い]
    C --> C2[カバーが間に合わない]

    D --> D1[攻めるタイミングが悪い]
    D --> D2[引く判断が遅い]

    E --> E1[焦って視野が狭くなる]
    E --> E2[連敗後にプレイが雑になる]

このように書くと、「勝てない」という大きな悩みが、確認できる原因候補に変わります。

3. ロジックツリーを作る3ステップ

ロジックツリーは、次の3ステップで作ります。

3-1. 一番上に大きな問題を書く

まず、分析したい大きな問題を書きます。

大きな問題の例:
- ランクが上がらない
- 終盤で負けることが多い
- チーム練習の質が上がらない
- 大会で実力を出せない
- 配信の視聴者が増えない

この段階では、まだ原因を決めつけなくて大丈夫です。

まずは、何を分解するのかを決めます。

3-2. 4分類で枝を作る

次に、前回の4分類を使って枝を作ります。

1. プレイ
2. 連携
3. 判断
4. メンタル

たとえば、「終盤で負けることが多い」という問題なら、次のように分けます。

終盤で負けることが多い
├─ プレイ
├─ 連携
├─ 判断
└─ メンタル

この段階では、まだ中身が空でも構いません。

まずは、考える箱を作るイメージです。

3-3. それぞれの下に小さな原因を書く

最後に、それぞれの枝の下へ、具体的な原因候補を書きます。

終盤で負けることが多い
├─ プレイ
│  ├─ 敵の位置確認が甘い
│  └─ 撃ち合い精度が落ちる
├─ 連携
│  ├─ 終盤に報告量が減る
│  └─ 味方の位置を見ずに動く
├─ 判断
│  ├─ 人数不利でも無理に勝負する
│  └─ 引くタイミングが遅い
└─ メンタル
   ├─ 焦って視野が狭くなる
   └─ 連敗後に判断が雑になる

ここまでできると、「終盤で負ける」という問題が、かなり分析しやすくなります。

4. 実習1:大きな問題を決める

まず、自分が扱いたい問題を1つ選びます。

前回までに書いたものを使っても構いません。

ワークシート

自分の大きな問題:
____________________

その問題が起きる場面:
____________________

その問題を改善したい理由:
____________________

記入例

自分の大きな問題:
終盤で負けることが多い。

その問題が起きる場面:
残り人数が少なくなった場面で、焦って前に出て倒される。

その問題を改善したい理由:
終盤の勝率を上げて、安定して試合を取り切れるようにしたい。

この実習では、まだ原因を深く考えなくて大丈夫です。

まずは、ツリーの一番上に置く問題を決めます。

5. 実習2:4分類で枝を作る

次に、大きな問題を4分類に分けます。

ワークシート

大きな問題:
____________________

プレイに関係しそうな原因:
-

連携に関係しそうな原因:
-

判断に関係しそうな原因:
-

メンタルに関係しそうな原因:
-

記入例

大きな問題:
終盤で負けることが多い。

プレイに関係しそうな原因:
- 敵の位置確認が甘い
- 撃ち合い精度が落ちる

連携に関係しそうな原因:
- 終盤に報告量が減る
- 味方の位置を見ずに動く

判断に関係しそうな原因:
- 人数不利でも無理に勝負する
- 引くタイミングが遅い

メンタルに関係しそうな原因:
- 焦って視野が狭くなる
- 連敗後に判断が雑になる

ここで大切なのは、原因を一つに絞らないことです。

まだ「本当の原因」を決める段階ではありません。

6. 実習3:ロジックツリーとして書く

次に、実習2で書いた内容をツリーとして整理します。

手書き用テンプレート

大きな問題:
____________

├─ プレイ
│  ├─
│  └─
├─ 連携
│  ├─
│  └─
├─ 判断
│  ├─
│  └─
└─ メンタル
   ├─
   └─

記入例

終盤で負けることが多い
├─ プレイ
│  ├─ 敵の位置確認が甘い
│  └─ 撃ち合い精度が落ちる
├─ 連携
│  ├─ 終盤に報告量が減る
│  └─ 味方の位置を見ずに動く
├─ 判断
│  ├─ 人数不利でも無理に勝負する
│  └─ 引くタイミングが遅い
└─ メンタル
   ├─ 焦って視野が狭くなる
   └─ 連敗後に判断が雑になる

きれいな図にする必要はありません。

大切なのは、原因候補が枝分かれして見えることです。

7. Mermaidでロジックツリーを書く

時間があれば、Mermaid記法でも書けます。

Mermaidは、テキストで図を作るための記法です。

flowchart TD
    A[終盤で負けることが多い] --> B[プレイ]
    A --> C[連携]
    A --> D[判断]
    A --> E[メンタル]

    B --> B1[敵の位置確認が甘い]
    B --> B2[撃ち合い精度が落ちる]

    C --> C1[終盤に報告量が減る]
    C --> C2[味方の位置を見ずに動く]

    D --> D1[人数不利でも無理に勝負する]
    D --> D2[引くタイミングが遅い]

    E --> E1[焦って視野が狭くなる]
    E --> E2[連敗後に判断が雑になる]

授業では、手書きでも十分です。

ただ、NotionやMarkdown対応ツールで整理する場合は、Mermaidを使うと視覚的に分かりやすくなります。

8. ロジックツリーでよくある失敗

8-1. 原因と改善行動が混ざる

よくある失敗は、原因候補と改善行動を同じ場所に書いてしまうことです。

悪い例

試合で勝てない
├─ エイムが悪い
├─ リプレイを見る
├─ 判断が悪い
└─ 練習する

この例では、原因と改善行動が混ざっています。

原因候補:
- エイムが悪い
- 判断が悪い

改善行動:
- リプレイを見る
- 練習する

ロジックツリーでは、まず原因候補だけを整理します。

改善行動は、次の段階で考えます。

8-2. 抽象的すぎる言葉で止まる

次のような言葉は、まだ広すぎます。

広すぎる原因:
- 判断が悪い
- 連携が悪い
- メンタルが弱い

もう一段分けると、分析しやすくなります。

判断が悪い
├─ 攻めるタイミングが早い
├─ 引く判断が遅い
└─ 人数不利で勝負している

8-3. いきなり本当の原因を決めつける

ロジックツリーは、原因を決定する道具ではありません。

原因候補を広げる道具です。

決めつけ:
負けた理由はエイムが悪いから。

ツリー化:
負けた理由は、プレイ・連携・判断・メンタルのどこにあるかを分けて考える。

本当の原因かどうかは、次の 2-5 で仮説として確認していきます。

9. ロジックツリーから次につなげる

ロジックツリーを作ったら、そこから1つ気になる原因候補を選びます。

たとえば、次のツリーがあったとします。

終盤で負けることが多い
├─ プレイ
│  ├─ 敵の位置確認が甘い
│  └─ 撃ち合い精度が落ちる
├─ 連携
│  ├─ 終盤に報告量が減る
│  └─ 味方の位置を見ずに動く
├─ 判断
│  ├─ 人数不利でも無理に勝負する
│  └─ 引くタイミングが遅い
└─ メンタル
   ├─ 焦って視野が狭くなる
   └─ 連敗後に判断が雑になる

この中から、次に確認したい原因候補を1つ選びます。

気になる原因候補:
終盤に報告量が減る。

ただし、ここではまだ断定しません。

断定:
終盤で負ける原因は報告量が少ないからだ。

仮説:
終盤で報告量が減っていることが、負けにつながっているのかもしれない。

このように、ロジックツリーは次の 2-5「仮説思考」につながります。

10. 実習4:次に確認したい原因候補を選ぶ

自分のロジックツリーから、次に確認したい原因候補を1つ選んでください。

ワークシート

自分の大きな問題:
____________________

ロジックツリーで出した原因候補:
1.
2.
3.
4.

次に確認したい原因候補:
____________________

なぜそれを確認したいか:
____________________

記入例

自分の大きな問題:
終盤で負けることが多い。

ロジックツリーで出した原因候補:
1. 終盤に報告量が減る
2. 人数不利でも無理に勝負する
3. 焦って視野が狭くなる
4. 味方の位置を見ずに動く

次に確認したい原因候補:
終盤に報告量が減る。

なぜそれを確認したいか:
味方のカバーが遅れる場面が多く、報告不足が関係している可能性があるから。

11. 90分授業内での進め方

この 2-4 は、90分授業の中では10〜13分程度で扱います。

進行目安:
1. ロジックツリーの説明:2分
2. 例を見ながら理解:2分
3. 自分の問題を4分類で枝分かれ:4分
4. ツリーとして整理:3分
5. 次に確認したい原因候補を1つ選ぶ:2分

この節では、説明よりも作業を重視します。

学生が自分の問題を1つツリー化できれば十分です。

12. まとめ

この節では、ロジックツリーを使って、勝てない理由を枝分かれで見える化する方法を学びました。

大切なのは、次の4つです。

  • ロジックツリーは、大きな問題を小さな原因候補に分ける図である
  • まずはプレイ・連携・判断・メンタルの4分類で枝を作る
  • 原因候補と改善行動を混ぜない
  • ツリーから次に確認したい原因候補を1つ選ぶ

ロジックツリーを作ることで、「なんとなく勝てない」が、「どこに原因がありそうか」へ変わります。

次の 2-5 では、今回選んだ原因候補について、本当にそれが原因なのかを疑う仮説思考を学びます。

練習問題

問題1

ロジックツリーとは何か、一文で説明してください。

問題2

次の問題を、プレイ・連携・判断・メンタルの4分類で分けてください。

問題:
ランクが上がらない。

問題3

次のロジックツリーの悪い点を説明してください。

試合で勝てない
├─ エイムが悪い
├─ 練習する
├─ 判断が悪い
└─ リプレイを見る

問題4

次の原因候補を、仮説の形に言い換えてください。

原因候補:
終盤に報告量が減る。

問題5

自分の問題を1つ選び、ロジックツリーの最初の枝を4つ作ってください。

自分の問題:

├─ プレイ
├─ 連携
├─ 判断
└─ メンタル

練習問題の答え

答え1

例です。

ロジックツリーとは、大きな問題を小さな原因候補へ枝分かれさせて整理する図です。

答え2

例です。

問題:
ランクが上がらない。

プレイ:
- エイムが安定しない
- キャラ理解が浅い

連携:
- 味方への報告が少ない
- カバーが遅い

判断:
- 引く判断が遅い
- 不利な位置で撃ち合う

メンタル:
- 連敗後に焦る
- 睡眠不足で集中できない

答え3

例です。

原因候補と改善行動が混ざっています。

原因候補:
- エイムが悪い
- 判断が悪い

改善行動:
- 練習する
- リプレイを見る

ロジックツリーでは、まず原因候補を整理し、改善行動は次の段階で考えるほうが分かりやすいです。

答え4

例です。

仮説:
終盤に報告量が減っていることが、味方のカバー遅れや負けにつながっているのかもしれない。

答え5

例です。

自分の問題:
終盤で負けることが多い。

├─ プレイ
│  └─ 敵の位置確認が甘い
├─ 連携
│  └─ 終盤に報告量が減る
├─ 判断
│  └─ 人数不利でも勝負している
└─ メンタル
   └─ 焦って視野が狭くなる
教材トップへ戻る